「冬」 といえば 「星」 でしょう。
というわけで、小学生の頃、何度となく挑戦しては挫折を繰り返して以来、一度もやったことがなかった星空の撮影をしてみたわけですが、AFの補助光を切るのを忘れていました。不覚! 写真やや右下の同じ位置にある赤い点はカメラの補助光が入ってしまったもので、星ではありませんのでご注意ください。「ああ、わたしもついに死兆星が見えるようになってしまった!」 と思われた方、ご安心ください。位置がまったく違います。(北斗七星を撮っていたら、やばかったかも……(^_^;)
Orion
まずは冬の星座の代名詞でもあるオリオン座です。赤い主星ベテルギウス、その対角にある青い一等星リゲル、「オリオンのベルト」 とみなされている三つ星、その下 「剣」 とみなされている部分の中央、まさに星が生成しているオリオン座大星雲(M42)など、見どころ満載です。
オリオン座の左下には、全天21の一等星の中で最も明るい星・おおいぬ座(Canis Major)のシリウスがあります。漢名、天狼星。光度マイナス 1.5 等です。
さらに、その左上で輝く明るい星がこいぬ座(Canis Minor)のプロキオンです。この星を、星一徹が飛雄馬に指し示した 「巨人の星」 だとする説もあります。
シリウス、プロキオン、ペテルギウスとつなぐと「冬の大三角」になります。
Taurus
オリオン座の右側にあるのがおうし座です。主星アルデバランのすぐ隣に見えるのがヒアデス散開星団です。その少し上にある青い星の集まりがプレアデス星団(M45)です。
このプレアデス星団が、脈絡なしに、いきなり 「さらば、すばるよ」 と別れを告げられてしまうことで有名な 「昴」 です。
アトラスの娘たち (Pleiades) が 「え~っ、何で」 と言っているかのように 「?」 が見えてしまうのは、私の気のせいでしょうね、きっと。
アルデバランやヒアデス散開星団を含むV字状の部分を、その形状から日本では 「釣鐘星」 と呼んでいました。
Cassiopeia
オリオン座と並ぶ冬の星座の代表格、カシオペア座です。「W字状」 と表現される星座ですが、冬場は 「横に拡げたM」 といった感じです。星座絵は長椅子に横たわった女王の姿なので、この向きの方がそれらしく見えます。
Perseus
星座中央に位置する α 星・ミルファクの周辺がメロッテ 20(Mel.20)と呼ばれる若い星々からなる散開星団です。
隣のカシオペア座との中間付近にぼんやりと 「8」 のような、メガネのような形に見える部分の交点付近がペルセウス座の二重星団です。一つ上のカシオペア座の写真だと中央付近。
Gemini
ふたご座です。二つ並んだ明るい星の、上がカストル、下が一等星ポルックスです。
下は M35 という散開星団。
Cancer
ふたご座の左下にある、目立つ星がない星座がかに座ですが、ここにもプレセぺ散開星団(M44)という有名な星団があります。(中央やや下。上の明るい星はふたご座のポルックス)
しばしば間違われるのですが、その形状から 「かに星雲」 と呼ばれる、1054 年の超新星爆発の残骸(M1)はおうし座にあります。かに座ではありませんのでご注意ください。この年代特定の決め手となった史料の一つが、『百人一首』 や 『新古今和歌集』 の選者として知られている藤原定家の日記 『明月記』 です。天文学は、時として古典の研究を必要とします。「理系」 とされる分野すべてに言えることなのですが、それらは 「理系」 の中だけで完結できるほど安直なものではありません。
有名な散開星団は、そのほとんどが冬の星座にあります。
晴れた夜、ゆっくりと空を見上げてみてはいかがでしょうか。
Tokiomi