カイツブリ

 

 「鳰 (にお) の海」 と聞いて 「琵琶湖のことでしょう」 とすぐにわかる方は、学生時代、退屈きわまりない古典の授業中、襲い来る猛烈な睡魔と格闘しつつ 「これはもの凄くためになる授業だ!」 とか 「オレは古典が好きだ!」 とか、信じてもいない戯れ言を自身に言い聞かせ続けることができた人でしょう。ですが、そのように道を究めた達人の皆様であっても、「鳰」 を実際に見分けることができるという方は意外と少ないのではないでしょうか。もちろん、私もできませんでした、昨日までは。

 今年の6月末頃からだったと思うのですが、三才池でハト程度の大きさの地味な鳥が潜水をくり返すのを見かけるようになりました。常に通りから離れた側にいたので望遠レンズを使ってもハッキリとした姿をとらえることができず、名称さえもわからなかったのですが、数日前の早朝、比較的近いところを雛鳥を連れて泳いでいるのを見かけたので、あわてて撮影して調べてみたところ カイツブリ だとわかりました。漢字で書くと 「鳰」 です。「水に入る鳥」 の意で、奈良時代に作られた和製漢字です。上記の和名 「カイツブリ」 は室町時代以降に使われるようになったとされています。
 主に水上で生活し、巣も水上に作るため、あまり飛ばないようで、私は飛んでいる姿を見たことがありません。
 凍結を避けて南に移動するそうなので、冬までには渡去すると思います。

 

Tokiomi