こいぬ座

 

 明るい星雲・星団もなく、「冬の大三角の一角を成すプロキオン( α CMi )があるだけの面白みのない星座」 だと思っていませんか?
 星座早見はもちろんのこと、かなり部厚い星座の専門書でも 「こいぬ座の全景」 として上記のような写真が掲載され、二つの星をつないだだけのつまらない星図が添えられています。星座には星座域という領域がともなう以上、仕方がないことなのですが、それだと 「どうして、この星座がこいぬ座と呼ばれるのか」 が見えなくなってしまうと思うのです。
 試しに、少し広い範囲の写真も撮影してみました。いっかくじゅう座、うみへび座にかかるか部分はありますが、おおいぬ座とよく似た配列が見てとれると思うのですが、どうでしょう?
 「こいぬ座」 と呼ばれるのは、単に位置かおおいぬ座に近接しているからではないのです。星座そのものも似ているのです。
 星座域は星を分類する上では不可欠なものなのですが、それによって見えなくなってしまうものがあることを忘れないようにしたいものです。都市による光害がほとんどなかった時代、直接、視認することができた星の数は現在よりもはるかに多かったわけですから、いにしえの人たちがどのように星を見ていたのかと想像をめぐらせてみるのも星空の楽しみ方の一つかと思います。

 

Tokiomi