「アトリって何? それって、おいしいの?」 というお決まりの質問をしてはいけません。というのも、霞網猟が禁止される以前は、実際に食用にされていたからです。私は食べたことがありませんし、食べたいとも思わないので、おいしいかどうかはわかりません。
秋にシベリア方面から飛来する冬鳥で、群れで行動することが多く、『日本書紀』天武7年(678)と天武9年(680)に天を覆うほどの大群が目撃された記録があります。
『万葉集』巻 20 には 「国巡る 獦子鳥(アトリ)鴨(かま)鳧(けり) 行き廻り 帰り来までに 斎(いは)ひてまたね」 という防人・刑部虫麻呂の歌がとられています。「行き巡る渡り鳥たちのようにオレも必ず帰ってくるので、身をつつしんで待っていてくれ」といった意味です。
古くから「なじみの鳥」だったようですね。
Tokiomi