かんむり座

 

 主な星が半円の弧を描く 「小さな星座」 です。ギリシャ神話では、酒の神ディオニュソスが妃アリアドネに贈った冠の姿だとされています。
 主星 α CrB_Alphecca (アルフェッカ)は、ラテン語では Gemma (ゲンマ、「宝石」 「真珠」 )と呼ばれていました。要として輝く貴石のイメージでしょう。

 

 

 R CrB は 「かんむり座R型変光星」 という爆発型変光星のプロトタイプです。通常は6等星として輝いていますが、突然暗くなりはじめ、2~3週間で7等級から 15 等級になります。いつ暗くなるのか、どれくらい暗くなるのか、いつまで暗いままなのか予測できない不規則な変光星です。ヘリウムと炭素が異常に多いので、減光は「すす」の形に凝集した炭素のダストが恒星の赤外線を遮るために発生すると考えられています。

 

 市販の天体望遠鏡ではとうてい観測できないのですが、この 「小さな星座」 周辺には現在わかっている最大の 「宇宙の大規模構造」 ヘルクレス座・かんむり座グレートウォールがあります。長さ 100 億光年、幅 72 億光年の銀河フィラメントで、実に観測可能な宇宙の 10.7 % に相当します。宇宙誕生からわずか 38 億年あまりで、これほどの大規模構造が生成されたメカニズムは不明です。主流派であるビッグバン理論から説明するのは原理的に難しく、非主流派のプラズマ宇宙論のような、大きな構造からスケールダウンして生成が進行するメカニズムを持つ理論が必要になるかと思います。

 

Tokiomi