ぎょしゃ座

 

 ご存知のように、天の北極に最も近い位置にある輝星・北極星 (α UMi Polaris) は二等星です。では、天の北極に最も近い位置、最も北にある一等星は何でしょうか?
 時期が来れば確実に北極星になる はくちょう座 α・デネブ? それとも、こと座 α・ベガ?
 どちらでもありません。正解は、ぎょしゃ座 α・カペラです。
 太陽と同じ黄色の星ですが、それぞれが太陽の 2.5 倍の質量を持つ二つの星からなる連星とされてきました。ですが、最近の研究によって、最少でも4個、多ければ11個からなる連星系であることがわかってきました。視等級は 0.08。全天で6番目に明るい一等星です。
 「車の名前としても使われていたのでカペラはきいたことがあるけれど、ぎょしゃ座ってどこ?」 という方も多いかと思いますので説明します。
 ぎょしゃ座は、ペルセウス座とふたご座の間にあります。オリオン座が南中したとき、ちょうど天頂に位置している星座で、つぶれた感じの五角形に星が並んでいます。中国では 「五車」 と呼んでいました。現在、五角形の一番南側 (上の写真だと右側) の星は おうし座 β です。
 この星座にはカペラの他にもう一つ有名なものがあります。それは、ほぼ一列に並んだ三つの散開星団です。東から M37、M36、そして M38 です。
 おうし座 β から近く、一番見つけやすい M36 は、星数は少ないのですが個々の星が明るく、美しい星団です。M37 は三つの中では最大規模で、密集した細かな星々が見えます。M38 は 「 π 」 字状で、比較的暗いので光の雲のようにも見えます。
 中望遠程度のレンズで撮れる星団なので、双眼鏡で観測してみてはいかがでしょうか。

 

 カペラ

 

 中央上から、M38、M36、M37

 

 M38、M36、右の恒星は おうし座 β

 

 下・M38

 

 中央・M36、やや右下・M38

 

 M37

 

 中央上・M36、中央やや下・M37

Tokiomi